地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

S.J.グールド vs. R.ドーキンス

サイエンスカフェ神戸」という催しで
「進化論を語ろう!ドーキンスとグールド、どっちがエライ?」
http://scicafe.h.kobe-u.ac.jp/schedule/273.html
というサイエンス・カフェ(ゲストの戸田山さんは哲学者では?)があるらしい。
自分は進化生物学の研究者ではないけれど
啓蒙家、普及者としてならともかく
進化生物学の研究者としての比較なら
迷わずグールドに軍配を上げる。
グールドならN.エルドリッジとの「断続平衡説」や
著書「個体発生と系統発生」で進化発生学に刺激を与えたことなど
進化生物学の発展に寄与した功績があるのに対して
自分の不勉強もあろうがドーキンスにはそういうものは知られていない。
「利己的遺伝子」の話も「遺伝子」なる用語を使っていながら
それが生物学の主流である分子生物学的な意味での「遺伝子」ではないなど
自分にとっては科学の周辺部や外側での話題という印象が強い。

グールドが進化生物学の進歩に貢献した研究者を顕彰する
リンネ協会(リンネ学会)のダーウィン・ウォーレス・メダルの受賞者(没後だが)
であることを見れば自分の印象がそう間違っていないと確信できる。
http://linnean.org/fileadmin/images/Awards/Recipients_of_the_Darwin-Wallace_Medal.pdf
「進化的に安定な戦略」 のJ.メーナード・スミスや
「細胞内共生説」のリン・マーギュリスや
昨年の京都賞を受賞したグラント夫妻といった受賞者の名前をみれば
オリジナリティの高い研究者と並んでいることがわかる。

なお、死んだ時期の関係なのか木村資生やW.D.ハミルトンは
ダーウィン・ウォーレス・メダルで顕彰されていないが
2人は王立協会のダーウィン・メダルの受賞者である。
http://en.wikipedia.org/wiki/Darwin_Medal