地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

小佐古敏荘・内閣参与辞任

3月16日から内閣官房参与になっていた小佐古敏荘(こさことしそう、放射線安全学)が
政府の対応を批判して辞任したそうだ。
辞任の理由についてはNHKなどは

「官邸や原子力安全委員会などは、今回の対策において、法律を守ることを軽視し、その場かぎりの場当たり的な政策決定プロセスをとっている。誰が決定したのかが明らかではなく、納得できない」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110429/k10015638131000.html
と報道している。
また共同通信の記事では

福島県内の小学校校庭などに累積した放射性物質に関し、文部科学省が示した被ばく線量基準は「国際的にも非常識で受け入れがたい」

http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042901000682.html
と批判しているとも伝えている。

この文科省が示した線量基準というのは
「児童生徒等が学校等に通える地域においては、非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm

というもので、これについては日弁連も批判していて

文部科学省は、電離放射線障害防止規則3条1項1号において、「外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3 ミリシーベルトを超えるおそれのある区域」を管理区域とし、同条4項で必要のある者以外の者の管理区域への立ち入りを禁じている。3月あたり1.3mSvは1年当たり5.2mSv であり、今回の基準は、これをはるかに超える被ばくを許容することを意味する。しかも、同規則が前提にしているのは事業において放射線を利用する場合であって、ある程度の被ばく管理が可能な場面を想定しているところ、現在のような災害時においては天候条件等によって予期しない被ばくの可能性があることを十分に考慮しなければならない。」
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042901000682.html

日弁連会長声明を見ても
政府の対策本部が「法律を守ることを軽視」している様がよく判る。
小佐古は会見で涙ぐんでいたようだが放射線安全学の専門家としての矜持が
辞任を決意させたのかもしれないと思った。

※2011年4月30日追記
小佐古の辞任会見の全文が以下のところに掲載されている。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html