地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

野では咲かぬか博士号

つい先日知ったのだが、
「博士漂流時代」の著者である榎木英介さんは
8月から近大医学部の講師になられたようだ。
http://researchmap.jp/enodon/
前職の地方市民病院では研究は容易ではなかったので、
アカデミック・キャリアに戻ることを選ばれたのだろうか。
上記著書で科学ジャーナリスト賞を受賞されたりなどの活躍が
アカデミック・キャリアへの帰還を後押しをしたのではないかとも思うが、
やはりアカデミアが博士の能力を生かすに相応しい場所なのだろう。
皮肉でもなんでもなく、
博士のキャリアを社会の中で生かすといったことは、
言うは易く行うは難しだ。

アカデミックな研究者の席には限りがあって、
希望者全員がそうなれるわけではないから、
違う道を歩まざるを得ない人が出るのは仕方ないとも思うものの、
研究者としてのトレーニングを受けた人間の能力が生かせるのは
やはり研究の世界なのだろうと思う。
それはたぶん芸術家の卵やプロスポーツの練習生の場合と
同じような構造なのだろう。
芸術やスポーツでもプロへの道を諦めた人が
その技能を社会で生かすことは難しい。
自分は博士の大半は優秀だとはと思うけれど、
一方で研究のための教育訓練によって身につく能力のかなりの部分は
研究以外では生かすのが難しいとも思う。
金に飽かせてかき集めたスター候補の大半を
飼い殺しにするどこぞの球団の真似などしないで、
博士課程をもっと減らして欲しいという気がする。