地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

かまととスペシャル

今日、放送されたNHKスペシャル「シリーズ原発危機 メルトダウン」を見た。
非常用復水器がうまく使えなかったら事故が深刻化したというような話だった。
何故だかメルトダウンについては
話は1号炉のことばかりで状況が完全には同一ではないはずの
2号炉、3号炉の話は触れられていなかったし、
早い段階で非常用復水器の状態を確認に現場に行こうとしたら
線量が普段よりも高くなっていて引き返した話をしているのに
(全くの漏洩なしに線量が高くなることはない)
津波で全電源喪失までは順調に行っていたみたいなストーリーでちょっと眉唾物。

 

既に紹介している事故前に作られていた
「防災用事故シナリオ理解のための教材(BWRマークⅠ型)」というアニメーションがある。

http://www.youtube.com/watch?v=wwYk62WpV_s
福島第1原発は1号炉から5号炉までがBWR(沸騰水型軽水炉)マークⅠ型であるし、
事故発生後に制御棒が完全に挿入され、
原子炉が停止した後、
炉心を冷却するための全ての注水に失敗するケース
という今回の事故にぴったりのシミュレーションである。
これだと事故発生から30分で炉心が融け始め
1時間で完全にメルトダウン、3時間でメルトスルーとなっている。
このアニメーションでの「事故発生」というのが注水失敗からなのか
炉心が完全露出で空焚きになってからなのかはっきりしないが、
極めて短時間でメルトスルーに至るのは間違いない。

 

もしTVで言っていた様に
非常用復水器が動いて7~8時間メルトダウンが遅れたとしても
電源喪失から炉心が完全露出した19時頃(?)までの時間が
夜中の3時頃まで伸びる程度なのだから、
結局翌朝にはメルトスルーに至っていたのではないか。
NHKスペシャルで言っていたような人為的要因があったために
メルトスルーの訪れが早くなっていたのかもしれないが
結局逃れられなかったのではないだろうか。
(2号炉や3号炉に触れないのはこちらでは非常用復水器が機能していたから?)
もしも水位計が正しい値を示していたとしても有効な手立てがあったとは思えない。

 

それに上のシミュレーションを見ていると
格納容器内の圧力が上昇していることを知ってベントをしようとした時点で
メルトスルーしていることは専門家なら理解できたはずだと思われる。
そうだとしたらこの時点でスリーマイル越えは明らかだろう。
関係者が知らない振りしていたのだというのは間違いないだろう。