地獄のハイウェイ

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医療産業が繁栄≒医療費が高騰

昨日、内閣官房医療イノベーション推進室長の中村祐輔が辞任し
来年4月からシカゴ大学に研究拠点を移すというニュースがあった。
省庁の壁に阻まれて思うようにならなかったということのようだ。
それでネットで少し検索したところ、
サイエンスポータルでも記事が出ていた。
http://scienceportal.jp/news/daily/1112/1112132.html
そこで「医療を産業として見る目も」
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview48/04.html
という中村のインタビュー記事が出ていたので読んでみたが、
気になった箇所がある。
それは
「医療というのを産業からみた場合に、日本は国としてすごく弱体化しています。米国ですとヘルスケア、メディカルケアのGDP(国内総生産)は、総GDPの25%近いといわれています。ですから1つの産業分野としてもうちょっとしっかりしていかないと、本当に日本は新しい医療を受けることができない国になってしまいます。」
というところだ。

GDP(Gross Domestic Product、国内総生産)は三面等価の原則で
GDE(Gross Domestic Expenditure、国内総支出)と等しくなるというのは
経済に疎い自分でも知っている話だ。
ヘルスケア、メディカルケアがGDPに占める割合というのは、
それらがGDEに占める割合と言うことになる。
そしてヘルスケア、メディカルケアに掛かる支出とは、
結局のところ医療費ということではないか。
医療産業の総生産が多いと言うことは、
医療に多くの支出がされてるということなのだ。

そういえば医療費の対GDP比は国際比較がされている。
ネットで検索してみると「OECD加盟国の医療費の状況(2009年)」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken11/dl/02.pdf
という資料が見つかった。
これで見ると米国は医療費の対GDP比は17.4%、一人当たり医療費が7,960ドル。
日本は医療費の対GDP比は8.5%、一人当たり医療費は2,878ドル。
米国は対GDP比で日本の倍以上、一人当たり医療費では2.7倍程となっている。
もちろん平均寿命は日本の方が長いから、
米国は医療費が高騰している割には国民の健康は実現できていないとも言える。
先端医療では米国が世界のトップなのかも知れないが、
日本が目指すべき模範とは言えないだろう。