地獄のハイウェイ

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自然科学の発展に寄与している大学は日本で179校

科学技術政策研究所の「日本の大学に関するシステム分析」(2009年3月)
概要( http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/rep122j/pdf/NISTEP_REPORT_No.122a.pdf)
全文( http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/rep122j/pdf/NISTEP_REPORT_No.122.pdf)
というのがあって面白い。
その中で
「日本には国公私立大学(短大を含む)が1096あり、英国には170あります。「自然科学系の論文生産に一定程度参加している大学」を抽出したところ、日本は全大学数の2割弱(179大学)、英国は6割程度(95大学)となりました。論文シェアについては、これらの大学が日本の97%、英国の99%を占めています。」

(概要の2ページ目)
とあって科学技術政策で分析対象となる大学は
日本の場合179校だと考えても大きな間違いではないようだ。
就活問題とか文教政策とかでは1096校全部が対象だから
そういう方向の議論で「大学は云々」の話の平均的な大学のイメージでは
科学技術政策的に重要な大学の話は考慮されないっていうことにもなりそうだ。

それはともかく179校の中でも論文シェア上位の大学は
東大、京大、阪大、東北大(シェア5%以上)
東工大、九大、北大、名大、広島、筑波、岡山、千葉、神戸、金沢、慶応、日大、早稲田(1~5%)
の17大学ということのようだ(全文版の概要での図表4)。
旧帝大7校と旧官立大系7校に早慶といった
国際的な大学ランキングで国内の上位常連に日大を加えた17校で
論文シェアは50%に達する(全文版の表1-4-5)。
シェアが低くても研究者一人当たりの論文数の多い大学もあるが
研究者一人当たりの論文数が低くてシェアも低い103大学は、
名前が出ていない(全文版の概要での図表4)。
自然科学系の論文生産に一定程度参加している大学のうち
81大学(名前の出ていない5校を含む)だけで
論文シェアの84%を占めている(全文版の表1-4-5)。
科学技術政策において研究の多様性とかそういった考慮の対象はこの辺までだろうか。
範囲を伸ばしたとしても精々179校まで考えておけば十分なのだろう。