地獄のハイウェイ

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理学系とくにバイオ分野では博士課程へ進むのは無謀

 科学技術・学術政策研究所から「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-postdoc2012-PressJ.pdf
とうのが出たので見て驚いたのだが、博士課程に在籍する学生では理学系(5,178人)は工学系(13,741人)の4割弱しかいないのに、ポスドクの場合だと理学系(5,034人)は工学系(3,361人)の1.5倍ほどになっている。工学系だと博士就職が比較的容易でポスドクにならずに就職するケースが多いのに、理学系だとポスドクくらいしか仕事がないということだろうか?しかも2009年と2012年を比べると工学系と農学系ではポスドクがかなり減っているのになんと理学系だけはポスドクが増えている(概要図表7)。これはちょっと理学系が異常なのだと思う。
 理学系と言っても物理、化学、生物でだいぶ様子が違うだろうけれど、これまでの各種調査から考えると労働集約型の生物(≒バイオ)系が、理学系ポスドクの多くを占めているのは間違いないだろうから、この異常な状態はバイオ分野の理学系によってもたらされていると考えて良いだろう。このような状況を知らずにバイオ分野で理学系大学院に進むのは無謀だし、しかもバイオ関係のプロジェクトではポスドクとは名ばかりでほとんどの実態は研究業務員というブラックな世界なのだから、そんな分野で博士課程やその先に進もうとするのは余りにも酔狂が過ぎると思う。

 

2020年8月12日追記:関連する過去記事