地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

役に立たない「七つの基準」

朝日新聞の高橋真理子という人が
エセ科学 見分けるための七つの基準」
http://apital.asahi.com/article/story/2014010800005.html
という記事を書いている。

この人は除洗に関わるインチキ商売のことを話題にしたかったようだが
除洗に関してはエセでない方の「科学」の方も
結局のところ放射性廃棄物の山を別の場所に作るだけで、
「ダメ科学」というかパッとしない。
http://www.jaea.go.jp/fukushima/decon04/ke05.pdf
除洗に絡めて科学とエセ科学を語ってもなんだかなぁという気がする。

それはさておき、
記事中の「七つの基準」というのがかなり残念な代物。
曰く
1)「新しい証拠があれば喜んで考えを変える⇔考えを変えない」
2)「同僚(同じ分野の研究者)同士で情け容赦のない評価をする⇔同僚同士の評価はなし」
3)「すべての新発見を考慮に入れる⇔都合の良い発見だけ選ぶ」
4)「批判を歓迎⇔批判を陰謀とみなす」
5)「証明可能な結果⇔再現性がない」
6)「限定された有用性を主張⇔幅広い有用性を主張」
7)「正確な測定⇔おおよその測定」

(「科学」⇔「エセ科学」の対比、分りやすいように番号を書き加えた)

以下は自分のコメント。

1)そもそも自分の主張に相当に拘る執念がないと
ライバルからの情け容赦ない批判に心が折れて
科学の研究なんて続けられない。

2)エセ科学の方だってある意味カモの奪い合いなので
別の「エセ科学」を売っている同業者のことは辛辣に評価したりする。
特にカルト宗教が絡んでいるような場合はライバルを口汚く貶したりする。

3)分野によっては相反するような研究結果が出ることも珍しくないので
自分の奉じる学説に合わない新発見には極めて懐疑的になるのが普通だ。
それに確立された既存学説に反するような新発見の場合には、
食いついてくるのはむしろオルタナ系の人達。

4)ジャンル外の素人や通俗ジャーナリズムに見当違いの批判をされたら
科学者は歓迎するどころかむかっ腹を立てる方が普通だろう。
科学者も公募のタイミングで批判が出ると
疑心暗鬼になって大御所や反対勢力による陰謀云々を口走るケースもある。

5)再現性云々に関しては分野にもよるが
そんなこと言ったら宇宙論とか進化論とかは全滅に近い。

6)有用性の大風呂敷に関しては
バイオ系なんか酷くてサプリ業界と大して変わらないのではないか、
実際のところ「ゲノム創薬」なんてほとんど投資詐欺に近かった。

7)地震予知のような極め付きの精度の低い分野は
エセ科学」かも知れないということなら同意しても良い。

出来の悪い「ダメ科学」と「エセ科学」の境界線は曖昧で
それを担っている人達の学歴というか
科学の既存ジャンルで生き残ってきたか
そうした経験が乏しいかどうかの差ぐらいしかないと思う。