地獄のハイウェイ

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高橋政代って笹井芳樹とは議論しないのか?

先日、iPS細胞を使った臨床試験を進めている理研CDBの高橋政代
ツィッターで「中止」を匂わすような投稿をしてちょっとした騒ぎになった。
この騒ぎについて毎日新聞が高橋との「一問一答」なるインタビューを掲載していたので
それを見ていたのだが強烈な違和感を覚えた。
違和感を覚えたのは次の箇所、

−−小保方氏や笹井芳樹副センター長の対応について、どう思いますか。

◆「真摯(しんし)」かもしれませんが、遅いと思います。私は調査結果全体を把握しているわけではありませんが、事実はどうあれ責任があるということを、もっと早く自分たちで表明すべきだったと思います。

http://mainichi.jp/feature/news/20140704mog00m040001000c4.html

4月の会見で「STAP現象はリアルフェノメノン」とかの詭弁を弄していた笹井の対応が
「真摯」かもしれない、というのは一体全体どういうセンスなのだろう?
4月半ばの時点で既にCDBのデタラメぶりが問題になっていたというのに。
更に「一問一答」で

◆それもありますが、安全性もまだ分からない段階でした。だから医療のことは口にしてほしくなかった。(記者会見などで)患者さんのことに言及されたのは、本当に怒りを覚えました。

と高橋は言っているが、問題となったSTAPの記者会見は笹井が取り仕切ったものではないか?
(研究不正再発防止のための改革委員会報告書 http://www3.riken.jp/stap/j/d7document15.pdf
このような笹井の対応を「不誠実」と言わず「真摯かもしれないが遅い」とか
生ぬるい評価を示している高橋の倫理観を疑う。
組織人として組織内の上位の者を悪くは言えないというのはあるのかもしれないが
それならツィッターで「理研の倫理観にもう耐えられない」とか言ったら組織人として落第もの。
今回の騒ぎでは組織人としてどうなのという式の疑問に対して
高橋を庇って「理研の各研究室は独立した個人商店みたいなもの」式の言説も見掛けるが、
それならその独立した個人商店の各店主は商店街の会長さんとは議論もできないのか?
そもそも高橋と笹井はたまたま同じ組織に属している独立した研究者ではないだろう。
iPS細胞の臨床試験が始まろうとしていた時点でのインタビュー等
http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/interview/10/no02.html
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO004347/20130622-OYT8T00858.html
を見ると高橋は笹井の研究や開発した技術を臨床に応用しようと考えているのが判る。
実際検索をかけると笹井と高橋が共著者として名を連ねている論文もある。
http://www.nature.com/nprot/journal/v4/n6/full/nprot.2009.51.html
http://jcs.biologists.org/content/122/17/3169.full.pdf
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4050483/pdf/main.pdf
そういう研究仲間であるのだからディスカッションをする間柄ではないか。
ましてや大学時代の同級生という関係でもある。
STAP事件で「研究不正」「捏造」というのがほぼ確定している状況で
高橋が笹井に直接に「倫理観が耐えられない」と言ってないのか?
あるいはSTAP事件について何の議論もしていないのか?
そういう内部の議論の詳細を表に出せとまではいわないが
もしも議論していないなら高橋の科学者としての姿勢を疑わざるを得ない。