地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

そもそもバカンティってどうなのよ?

小保方晴子が『あの日』という手記を出版したそうだ。
ネットで紹介されている内容を見る限り自己弁護に終始したもののようだ。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20160128-00053873/
http://delete-all.hatenablog.com/entry/2016/01/28/233622
それなりには売れるだろうけれど悪あがきだと思う。

幹細胞研究分野についての素人の自分があれこれ言うのもあれなのだけれど
日本では理研でのSTAP事件が話題の中心ということもあって
小保方とか若山照彦とか笹井芳樹とかがどうしたこうしたという感じになっているが
そもそも小保方がアメリカで指導を受けたというバカンティってまともじゃなさそうだ。
小保方の学位論文のテーマはバカンティの胞子様細胞 (スポアライクステムセル) に基づく
「三胚葉由来組織に共通した万能性体性幹細胞の探索」というものだ。
だがこの胞子様細胞というのは極めて怪しげな代物で
当該分野で認めている人は極めて稀なトンデモ仮説の類なのだ。
これについてクマムシ博士こと堀川大樹が紹介している。
http://blogos.com/article/157827/
(堀川は胞子様細胞ではなく「芽胞様幹細胞」という用語を使っている)
こういう怪しげな研究(?)の流れを汲んでいるということは
学位剥奪に関する外形的問題とは別に
小保方の学位論文の内容にも疑問符がつく。
突飛な仮説を実験的検証によって排除できないのかしないのか
幹細胞研究分野というのには分野内の健全な批判とか
そういった正常な科学分野の機能が欠如しているのかもしれないが
バカンティの仮説について白黒ついてるのか?
どうみてもトンデモ仮説なので無視を決め込むというのなら
こういうのに乗っかった人達(若山とか大和雅之とか)の科学者として資質には
正直言って疑問を持たざるを得ない。
だから小保方という特異なキャラクターの巻き起こした事件の真相がどうであれ
こんなダメダメな分野に期待する気には全くならない。