地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

理系には曲学阿世の徒とか御用学者とかはいなかったの?

東大や阪大の論文捏造事件などの不正事件が相次いで明らかになり、
科学における不正に関する議論が色々と行われているし、
自分もその一角を占めているわけだが
理系(医学系を含む)研究者の議論の一部に凄く素朴というか
「これまでは不正問題は考えもしなかった」式の論を見かけるが
これまでも不正は先端科学でも結構あったことを知らないのだろうか?
有名なところではHIV(AIDSウィルス)の発見をめぐって
米国のロバート・ギャロが仏パスツール研究所から送られたウイルス試料を
盗用したという疑惑があった(灰色政治決着)。

そう言えば薬害AIDS事件の関係者で、
厚生省薬務局生物製剤課長だった郡司篤晃
厚生省退職後に東大医学部教授(現・聖学院大学教授)になっている。
郡司の教授任用の経緯は詳らかには知らないが
厚生省薬務局生物製剤課長が学術的業績だけで東大教授になったと
素朴に受け入れている人は少数派ではないだろうか?

薬害事件・公害事件などでは行政側あるいは権力側に都合の良いデータを出す
曲学阿世の徒とか御用学者と呼ばれるような
真理を曲げ学問を歪めて情勢や権力者に媚びるような輩は事欠かない。
(念のために言うがギャロや郡司がそうだといっているのではない)
権力に媚びて真理を曲げる(つまり不正に加担する)学者が、
その報酬としてアカデミックポジションに就いていることと比べれば
虚偽の成果をでっち上げて競争的資金を獲得するような学者は
得するのが本人だけなので、まだ可愛い方かも知れない。
(科学倫理の問題として御用学者と捏造学者を比べるのも一興かもしれない)

論文不正事件で初めて「科学の信頼性が問われている」と思った人は
曲学阿世の徒とか御用学者とかはいなかったと思っていたのだろうか?