地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

ニセ科学よりも反科学のほうが問題

科学コミュニケーションで問題とされているニセ科学とは、
近年話題になっている「水からの伝言」とかのような
科学を自称しているが実態は科学とは呼べないような代物のことだ。
それはそれで問題なのだが、
科学コミュニケーションにとってより重要視すべきなのは
一般市民に広がる「反科学」的なムードではないだろうか。

ニセ科学は科学を偽装するくらいだから
それが如何にデタラメで我田引水の塊であっても
科学的な雰囲気のする説明に対して必ずしも敵対的ではない。
敵意が体制内の守旧派と見られる既存科学の擁護者に向けられることはあっても
科学に対する敵意を増幅しようとしているわけではない。

反科学というのも幅が広くて
「科学では本当に大事なことはわからない」とか
「霊的パワーは科学では解き得ない真実を示している」とか
いろいろな形態があるが基本的には
科学という知識の権威を否定することに基調がある。

自分が子供だった頃には、
少年マンガやその周辺の出版物において
スーパーヒーロー(仮面ライダーとか)の必殺技などは
デタラメだが科学を装った(つまりニセ科学的)説明がなされていたが
今時はそういうのはどちらかと言えば珍しくて、
むしろ魔法とか霊的パワーによる説明が多くなっているような気がする。
TVの仮面ライダーシリーズですら
「霊的なパワー」に基づいた解説を頻繁に見掛けるように思うが
思い過ごしだろうか?
ごく一般的な市民を楽しませる娯楽のレベルでは
説明が科学的であることを装うよりも
霊的であるとか精神世界的なものである方が
権威があり説得力を持つようになってしまってないだろうか。

先にニセ科学の例としてあげた「水からの伝言」も
道徳的な要素と関連付けようとするところが
むしろ「霊的」「精神世界」的なものに権威を認める風潮の中で
受け容れられ易いので広まっているという可能性はないだろうか?