地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

反証主義にさよならと言おう

科学と疑似科学の話題でがっかりするのは、
境界設定問題というポパーフレームワーク
相変わらず反証主義が持ち出されて、
その上更にクーンのパラダイム論までが、
ポパーフレームワークで、
反証主義への批判のように論じられてしまうことだ。

精神分析に対するポパーの批判に関して
A.グリュンバウムは「精神分析の基礎」の中で、
粗雑でアンフェアな解釈で精神分析を批判するポパーについて

「そしてわたしが示したのは、フロイトは注意深く―たとえ不成功に終わったとしても―ポパーが臨床的確証に対して持ち出したあらゆる議論をすでに検討していたのであり、しかもポパー哲学の舞台に登場する以前にそれを行っていたのだということである。」
(村田純一他訳、278ページ)

と書いているのを良く味わってもらいたい。
グリュンバウムの本は精神分析を批判したもので、
間違っても擁護側のものではない。

素人向けに話の枕に反証主義の話が出るのは仕方ないにしても
科学とは何かについて考えようという人間が、
真剣に議論するには相応しくない論題だと思う。