地獄のハイウェイ

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企業の期待は「ポスドク>新卒博士>修士>大卒」のはずだから

文科省の「民間企業の研究活動に関する調査報告(平成18年度)」で
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/10/07102312.htm

採用した研究者の資質について、「期待を上回る」と回答した企業の割合は、全ての区分において10パーセントに満たない。「ほぼ期待どおり」と回答した企業の割合は、全ての区分において「期待を下回る」の割合より高く60パーセント前後となっている。一方、「期待を下回る」と回答した企業の割合は、ポストドクターの研究者が最も低く、続いて博士課程修了の研究者、修士課程修了の研究者、学士課程修了の研究者の順となっている。

とか言っているが、企業側の期待っていうのは
学歴(厳密に言えばポスドクは職歴のはずだが)に応じて違っているのに
それを無視したような表現ではないか?
企業側はポスドク経験者の能力・資質を大卒と同レベルと思って採用しているのだろうか?
まさかそんなはずはないだろう。
大卒のほぼ期待通りは修士では期待はずれだろうし
修士ののほぼ期待通りは新卒博士では期待はずれだろう。
そういう意味では「ほぼ期待通り」に要求される水準は
大卒とポスドク経験者では相当に違っているはずである。

そう考えて改めて見ると、
ほぼ期待通りは、大卒59.6%、修士64.5%、新卒博士60.5%、ポスドク55.9%
期待を上回るは、大卒1.0%、修士1.4%、新卒博士2.6%、ポスドク2.2%
だから両者を併せるたもの(つまり期待はずれでないもの)は
大卒60.6%、修士65.9%、新卒博士63.1%、ポスドク58.1%となる。
一方期待を下回る(つまり期待はずれ)は
大卒31.1%、修士26.3%、新卒博士15.3%、ポスドク8.1%となる。

だからこのデータを素直に見れば
大多数の6割のポスドクは学歴・職歴に見合う能力だということだから、
世間から色々言われてもポスドク経験者は優秀なのである。
それどころか学歴が進むにつれて期待はずれが減っているのだから
大学院教育も概ね上手く行っているという風にも言えるのだ。