地獄のハイウェイ

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科学の間のコミュニケーション

科学コミュニケーションは流行っているとまで言わないが、
それなりに認知もされ普及しつつあるように思う。
多くの場合、そこで考えられているのは
科学者と一般市民との間のコミュニケーションと言って間違いないと思う。
それでちょっと思ったのが、
バイオ研究者が話し手となったサイエンス・カフェに
物理学者が参加した場合に彼は「科学者」なのか「一般市民」なのかということ。

科学的思考を身に付けてポストや競争的資金の獲得に汲々とする彼は、
間違いなく科学者ではあるがその場では一般市民ということなのだろうか。
しかし物理学者ばかりが参加者であったら
科学者と科学者との間のコミュニケーションと言うことになるのだろうか?

科学の異分野間のコミュニケーションが行われているとなると
学際的な研究会なんかがその代表だろうが、
上手く行っているものもあればただ雑居しているだけのこともある。
ターゲットが同じであればコミュニケーションが上手く行くこともあるが
共通の目標がない場合には上手く行かないことが多いように思う。
例えば手法の一部が共通している構造物性分野と構造生物学分野で
実りあるコミュニケーションが行われていると言う話も
寡聞にして聞いたことがない。
個人的には例えばタンパク質のフォールディングの話は
相転移とか自己組織化現象と関係あるんだろと思うけれど、
生物系でタンパク質の構築原理とかやっている人たちの間で
そういう方面と積極的に対話している人がいないではないにしても
外野にはあんまり見えてこないように思う。

物理学者にバイオ分野の面白さを分かってもらうというのは
とっても難しいことなのだと思うが、
科学の間のコミュニケーションに長けた科学者も必要だろう。
固有の分野での研究業績が今一つであっても、
分野間コミュニケーターとして社会的に認知するというのも
学位を持った人間の就職口を広げることになるかもしれないとも思う。