地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

科学者への不信について、原発事故とSTAP事件

小野昌弘という人の
放射能恐怖という民主政治の毒(11):煽られる不信・くすぶるデマ」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20150222-00042905/
という記事を読んで少し違和感を覚えた。

福島の原発事故でいわゆる御用学者というか原子力専門家達が
色々と問題発言をしたことで糾弾されたりしたことを
「科学者全般・専門業界全てに対する不信が蔓延した」式のことを言っているが
いわゆる原子力村の専門家への不信を科学全体に広げるのは風呂敷を広げ過ぎ。
御用学者とかエア御用とか呼ばれた人達がいた一方で、
放射能の恐怖を煽らず「放射能おばけ」に加担することなく
それまで以上に尊敬を受けるようになった原子力放射線関係の科学者・専門家も少なからずいた。
例えば木村真三、今中哲司とかあるいは安斎育郎といった人達がいたではないか。
専門外の研究者なら牧野淳一郎、押川正毅あるいは田崎晴明とかの人達もいた。
そういう人達のことを一切無視しているのは
自分の言説を際立たせるためのあざといレトリックにしか見えない。

そういう人なのかと思って過去記事を見たら
「STAP問題が照らし出した日本の医学生物学研究の構造的問題」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20140427-00034852/
という記事で
「STAP研究は、少なくとも、ずさんだ。しかし、このずさんさは、正直なところ、日本の基礎医学生物学研究でよくみられるずさんさの延長だと思う」
「ここで私はSTAPの研究体制に問題がなかったと言っているのではない。酷い言語道断の状況だが、日本の他の研究室に比べて、それは取り立てて酷いわけではないことが問題で、それがゆえに日本全体の科学社会の劣化を憂えているのだ。」

と日本の医学生物学研究への不信を煽るような文章が並んでいる。
あげくに「日本の医学生物研究は堕落しているのだ」とまで言って
医学生物学研究に関係する研究者達を断罪している。
こういうのは
「科学者全般・専門業界全てに対する不信を積極的に焚きつける」
ことにならないというのだろうか?