地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

研究不正/研究倫理

STAP細胞騒動について

研究不正に関しては有名なボルティモア事件のように 大騒動になったものの10年を経て嫌疑が晴れたケースもあるので あまり性急な判断は避けたいところだが、 STAP細胞を報告した論文の画像の疑惑から始まった騒動は Natureの方でも疑惑に言及するところまで…

割烹着でcooking?

報道によるとSTAP細胞を報告したNature論文で、 不自然な画像が使われているとの指摘があって 理研が調査を始めたということだ。 http://mainichi.jp/select/news/20140215k0000m040163000c.html それでネットを眺めていたら色々と指摘が出ているようだ。 例…

どうして触れない?

先日の東大分子細胞生物学研究所の論文捏造疑惑告発サイトのリンクに 論文捏造(http://blog.goo.ne.jp/netsuzou)という告発サイトがあったので見たのだが セルカン事件を除けば医学や生命科学系ばかりで 一部ではもっと騒ぎになって新聞沙汰にまでなってい…

倫理を説くだけでは研究不正は防げない

東大分子細胞生物学研究所の論文不正問題で、 渦中の加藤茂明教授が辞職したのだそうだ。 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120405-OYT8T00930.htm ちょっと検索すると 詳しく情報を集めているサイト(http://blog.goo.ne.jp/bnsikato)もある。 そこ…

結晶構造解析で論文捏造

報道経由で知ったのだがActa Crystallogrphica Eで、 中国人研究者による論文捏造が見つかったそうだ。 http://journals.iucr.org/e/issues/2010/01/00/me0406/ 結晶学はデータと結果の曖昧さが割と少なく、 またその検証も容易な分野なので、 捏造がすぐバ…

論文捏造で懲戒解雇

ここでも論文捏造疑惑を巡って過去何回か取り上げた多比良和誠・元教授が 論文捏造で懲戒解雇されたことに対して、 東大相手に地位確認などを求めた訴訟の判決があったとの報道があった。 判決は多比良氏の敗訴のようだが、 論文捏造は懲戒解雇の対象となる…

疑似科学批判からニセ科学批判への変遷

ネットでの疑似科学批判に自分なりに参入し始めた数年前と現在では ニセ科学を巡る状況が大きく変化したと思う。 自分が参入した頃には「疑似科学」という言い方が一番ポピュラーだった。 そのころ疑似科学問題で参考にしたのは大豆生田利章さんの 「ネット…

李下に冠を正さず

報道によると、タミフル(一般名オセルタミビル)服用後の異常行動について調査している 厚労省の研究班の主任研究者である横田俊平教授(横浜市立大)の講座が タミフルの販売元の中外製薬(製造元のロシュの傘下)から 奨学寄附金を受け取っていたそうだ。…

捏造:マスメディアと科学界

今回の「あるある大事典」の納豆ダイエット捏造事件は、 実験等を捏造したという点で考えさせられるものがある。 この事件はTV番組の「やらせ」の一種としての実験の捏造だが、 しばしば問題化している科学における不正事件も多くは実験の捏造だ。 科学者は…

論文は通過点に過ぎないのだから

昨日、NHKの「クローズアップ現代」の「揺らぐ科学の信頼」を見た。東大の多比良和成・元教授(2006年12月27日付で懲戒解雇)と川崎広明・元助手(同じく2006年12月27日付で懲戒解雇)の論文捏造事件について報じていた。捏造疑惑が発覚してから懲戒解雇処分…

告発者の保護は残された課題だ

以前にもとりあげた( 仁義なき競争社会 - 地獄のハイウェイ ) 阪大生命機能研究科の杉野明雄教授の論文不正事件に関して 阪大が20日付で杉野教授を懲戒解雇したとの報道があった。 前回も書いたがこのケースでは告発者の保護が不十分だったために 告発者が…

『背信の科学者たち』

W.ブロード&N.ウェイド『背信の科学者たち』が講談社ブルーバックスから再刊されたようだ。http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2575353最近の事例に関しても補足されている由。原著が出たのが1982年(最初の邦訳は1988年)だからもはや科学…

ソーカル事件から論文捏造について妄想した

いわゆるソーカル事件というのは、 1996年にA.ソーカルという物理学者が ポストモダニズムによる科学の引用がデタラメであることを告発するために、 ポストモダニズムの真似をしたデタラメ論文を作成して 「ソーシャル・テキスト」誌に投稿し、 デタラメ振…

村松秀「論文捏造」を読んで

村松秀「論文捏造」(中公新書ラクレ)読んだ。 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121502264/ ヤン・ヘンドリック・シェーンの論文捏造事件(ベル研シェーン事件)を 追ったTV番組を基に書籍化されたもので中々興味深かった。 良く取材されていると思っ…

□って誰やねん?

阪大生命機能研究科の杉野明雄教授によるとされる論文不正に関して 同研究科の研究公正委員会の調査報告書がネットで公開された。 http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/reports/FinalReport20060921.pdf 今回のケースでは告発者の保護が不十分だったために 助手が…

仁義なき競争社会

22日、阪大生命機能研究科の研究公正委員会は、 同研究科の研究チームの論文が取り下げられ、 共著者の助手が自殺した問題に関して、 責任著者である杉野明雄教授が 単独でデータの捏造・改竄したとする調査結果を発表したそうだ。 自殺した助手は論文の不正…

99%の科学者は誠実だとしても

総務省統計局の平成17年科学技術研究調査によれば、 平成17年3月31日現在の研究者の数は79万900人だそうだ。 http://www.stat.go.jp/data/kagaku/pamphlet/s-04.htm 仮に、これら研究者のうちの1%だけが、 論文捏造などの研究不正に手を染めているが、 残り…

論文に捏造があるのを前提しよう

昨日TVで「NHKスペシャル:論文捏造-夢の医療はなぜ潰えたのか」を見た。 黄禹錫(ファン・ウソク)元教授のクローンES細胞捏造事件について 時系列に沿って転落の過程を紹介していた。 番組では捏造問題が中心になっていたので軽く流されていたが 部下(学…

神戸大学特許取り下げ事件(続)

以前に取り上げた 神戸大学工学部の特許取り下げ事件の続報があった。 報道によると大前伸夫教授と中井哲男教授が訓告、 田川雅人助教授には口頭厳重注意だそうだ。 実際には実験していないデータが記載されていたことに対して 調査委員会は「研究者の倫理に…

科学的にも宗教的にもダメだこりゃ

報道によると、国立天文台の男性教授が、 科研費の一部を他の目的に流用していたことが明らかになったそうだ。 流用した一部には、衛星実験の成功を祈願するお札の購入費(8000円)や 研究メンバーの結婚式への祝電の一部としても支出していたそうだ。 こう…

監視も大事だが、合理的なルール作りを!

先日もとりあげた(身上調査はされていたの? - 地獄のハイウェイ) 早稲田大学・松本和子教授による研究費不正疑惑だが、 問題は不正経理から更に論文のデータ捏造疑惑にまで発展してきたようだ。 それにしても繰り返しになるが、どうしてそういう教授が 「…

ある告発

研究に関する内部告発というものを考える上で 過去の事例を検討するのも大事だが 今、現在起きている事件を考えたり報道することも必要だろう。 最近ある会合で次のような内部告発の事例を知った。 それは北浜克熙氏(元・阪大産研)の「川合研は嘘の枢軸」…

身上調査はされていたの?

先日もとりあげた(自浄能力は期待できるか? - 地獄のハイウェイ ) 早稲田大学理工学部教授による研究費不正疑惑の続報がでた。 不正受給額の一部を投資信託で運用していたというのも酷いが その教授が取締役をしていた関連企業に 不明朗な支払いがされた…

自浄能力は期待できるか?

報道によると、総合科学技術会議の議員だった早稲田大学理工学の教授に 研究費を不正に受給した疑いが浮上しているそうだ。 報道では早大も調査に乗り出したとのこと。 問題の教授は文科省の「研究活動の不正行為に関する特別委員会」の委員にもなっていたそ…

神戸大学特許取り下げ事件

報道によると、 神戸大学工学部の大前伸夫教授が出願した、 ダイヤモンドを利用した鉄切断工具に関する特許で、 実際には実験していないデータが記載されていたことがわかり、 大学側の指導で出願が取り下げられたそうだ。 特許は自然現象の報告のためではな…

幇間からペテン師へ

昨日の記事で、科学研究における不正行為と御用学者の件について触れたけれど、 どうも科学研究者の間では両者を分離して考える傾向が強いようだ。 現在問題になっている不正(ミスコンダクト)事件に関して言えば、 「御用学者でもない普通の研究者が不正を…

理系には曲学阿世の徒とか御用学者とかはいなかったの?

東大や阪大の論文捏造事件などの不正事件が相次いで明らかになり、 科学における不正に関する議論が色々と行われているし、 自分もその一角を占めているわけだが 理系(医学系を含む)研究者の議論の一部に凄く素朴というか 「これまでは不正問題は考えもし…

鷲田清一に期待すること

先日も取りあげたが論文捏造問題でhttps://katsuya-440.hatenablog.com/entry/3060538 図らずも関係者となってしまった阪大副学長・鷲田清一。 http://www.let.osaka-u.ac.jp/clph/gyouseki_washi.html 倫理学に関する著作もある専門家として 是非とも科学に…

昔財前今○○

先日も取りあげた論文捏造問題でhttps://katsuya-440.hatenablog.com/entry/3060538 舞台となった阪大医学部といえば、 山崎豊子「白い巨塔」(TVドラマの方が有名?)の浪速大学のモデルではないか。 (正確には今回の舞台は医学部ではなく大学院生命機能研…

金額では負けていません

読売新聞などの報道によると東京大学は27日、 多比良和誠教授らによる論文不正疑惑に関して 「実験結果が再現されていない」と発表したそうだ。 これで東大もクロ確定との判断を公表したことになる。 また、複数の報道によると2000~05年度の期間に 国が多比…