地獄のハイウェイ

科学・技術や趣味のことなど自由気ままに書き散らしています。

科学リテラシー

日本学術会議会長談話に見るダブスタ:低線量被曝とホメオパシー

日本学術会議会長だった(6月19日付で70歳定年制により退任)金澤一郎は、 退任2日前の6月17日に「放射線防護の対策を正しく理解するために」という会長談話を出した。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d11.pdf これに対して自分は批判した…

日本学術会議会長談話を批判する

日本学術会議の金澤一郎会長が6月17日付けで 「放射線防護の対策を正しく理解するために」というのを公表した。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d11.pdf いわく 「今回の漏出した放射性物質による一般の人々の被ばくは、このうち、しきい…

例えば医療問題では物理学者や化学者は一般市民でしかない

以前に「科学者と一般市民しかいないのか?」という記事を書いて、 科学コミュニケーション等の分野の一部で見られる、 科学者vs.一般市民という2項対立の図式への不満を述べたことがある。 考えてみると一般市民というのは問題によって変わってくる。 例え…

話を摩り替えるなよ

西田亮介という人が 「「御用学者」とは誰のことか」 http://webronza.asahi.com/synodos/2011041900001.html http://synodos.livedoor.biz/archives/1739790.html という記事を書いている。 福島第1原発の事故で「御用学者」という言葉が注目を集めたから書…

科学マンセーだけじゃない解説

先日の「「はやぶさ」のサイエンティフィックな価値はどれ程なのか」のコメント欄でも紹介したものだが、 東北大学の石渡明という人が 「「はやぶさ」が持ち帰った小惑星「イトカワ」の微粒子分析結果についての雑感」 http://www.geosociety.jp/faq/content…

「はやぶさ」のサイエンティフィックな価値はどれ程なのか

昨年の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還は大きな話題になった。 数々のトラブルに見舞われながらミッションを完遂した プロジェクト・チームの不屈のエンジニア魂に 感銘を受けた人も多かっただろう。 だから「はやぶさ」の物語が 科学技術振興の文脈で取り沙…

物理学検定なんてどうだろう?

某所のテクニカルスタッフの募集で、 QC検定3級以上相当というような応募資格をみた。 今まで知らなかったがQC検定というのは 品質管理検定というのが正式名称で 日本品質管理学会の認定で(財)日本規格協会などが主催するもののようだ。 http://www.jsa.or…

科学教でも良いんじゃないか

池田徳正さんが「ネットに蔓延する科学教を考える」という記事を書かれている。 http://informatics.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-1933.html 自分は科学を技術知の延長線上に考えるプラグマティズム的立場だし、 宗教的には科学を「世俗知」とみなす…

科学の方法や基礎知識を伝えるに先端科学は必要ない

一部のネット上で話題になっている 内田麻理香「科学との正しい付き合い方」を読んだ。 個人的には賛同しかねるところも色々とあるが、 一般読者に向けてと言うより科学コミュニケーション業界内で 「マニアだけを対象にしていてはダメなんだ」 という警鐘を…

昨年のノーベル化学賞はリボゾームなんだけど

Yahoo!のニュース欄を見ていたら、 2月10日21時24分配信の毎日新聞記事で 「<第三の酵素>筑波大チームが発見 たんぱく質とRNA協力」 と言うのを見掛けた。 「RNAとたんぱく質が協力して一つの酵素のように働き、分子を排除することが分かった。こう…

知的ファッションとして科学を語れ

サイエンス・ウォーズというかソーカル事件以来、 ポスト・モダンとかの思想っぽい分野での 科学語りの「知ったかぶり」振りが暴露され、 そういうことは恥ずべき事だという雰囲気になっているように思われる。 確かにいい加減な理解を振りかざしてあれこれ…

「美容にコラーゲン」よりもゲノム創薬に異を唱えたい

魔人buu*さんの「コミックサイエンス撲滅委員会」は 注目を集めたものの評判は芳しくないようだが、 「コミックサイエンス」の定義(?)がアップされていた。 http://comicscience.seesaa.net/article/137949866.html それによると、 「もしかしたら正しい…

求められているのは学知ではなく賢慮

sivadさんが「たぶん科学リテラシー以前に生活リテラシーが必要なんだと思う」 http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090928/ というエントリーを書かれている。 書かれている内容にはほぼ同意できるので、 ぴったりの言葉を思い出したので紹介しておきたい。 それ…

懐疑主義は疑似科学の防波堤になるか?

数日前に池内了が読売新聞の書評欄で、松尾貴史の「なぜ宇宙人は地球に来ない?」を取り上げ、 「(前略)健全な懐疑精神が素晴らしい。疑うことがダサイとされ、思考放棄とそれに付け込む疑似科学が蔓延(まんえん)する現代において、一服の清涼剤となって…

卒業生を大事にしているか?

天文学が人気あるというのは先日も書いたが 熱心な天文ファンというのはどのくらいの人数なのだろうか。 「天文ガイド」が公称8万部だそうだから、 自分の天体望遠鏡で星空を観測するようなコアなファンは 10万人程度といったところなのだろう。 ところで、…

陰謀論ではないけれど(Part2)

足利事件のDNA鑑定については最近何回か取り上げているが、 またまた後ろ暗いものを感じる情報に触れてしまった。 河野太郎議員のブログの2009/6/25付けの記事「DNA鑑定」の http://www.taro.org/blog/index.php/archives/1078 「補正予算の中に、警察庁の「…

陰謀論ではないけれど

先日話題にした足利事件のような冤罪事件について調べていると 科警研のような公的機関が必ずしも信頼できない事例に事欠かない。 公的機関は信頼できるのか信頼できないのか、 もちろん信頼できるケースも信頼できないケースも両方ある。 足利事件の場合はD…

オウム真理教と科学の関係について考える

あらきけいすけさんという方が、 オウム真理教をニセ科学関連の観点から論じることへの違和感を書かれた記事の中で、 「特に社会の衝撃を与えたのは、ボクの理解では、「カルト」と「科学・技術の正確な使いこなし」の結合がテロという形で表に出てきたこと…

科学者と一般市民しかいないのか?

科学コミュニケーションとか科学の理解増進とか そういう話題になったときに、 科学者/一般市民という二分法の図式で話が展開することが多い。 問題を考える上で単純化はある程度避けられないと思うが、 この図式は本来連続的なスペクトル上に設けられた 場…

血液型性格判断を拒否するために必要なリテラシー

山形大学大学院理工学研究科の城戸淳二教授という人が ベネッセのトンデモ本に噛み付いていたのに 血液型性格判断に肯定的だったという話が 一部で話題になっているらしい(lets_skepticさんの記事から知った)。 自分自身の経験から言っても 物理系の研究者…

Cell Nante Shiranai

物性系の研究者としゃべっていた時にマンガの話題になり、 荒木飛呂彦がCellの表紙を飾った話をしたら 「Cellって何?」と聞かれた。 インパクト・ファクターの大きい細胞生物学系の雑誌だと言うと 「ごめん、知らないわ」と言われてしまった。 生命科学系だ…

何のための科学リテラシーか

ニセ科学批判とか疑似科学批判とかそういう話では、 「科学ではないのに科学であるように見せかけているニセモノ」を見破るために、 市民に科学リテラシーというものが必要だとされている。 科学コミュニケーションとかサイエンス・カフェとかそういう業界で…

科学者による同業者批判について

松永和紀blogの「市民が科学者を見分ける法ー追加」という記事で http://blog.goo.ne.jp/wakilab/e/f7461768f57ae79fb31c987c7622726b 「日本の科学者は同業者を批判してもなんの得にもならないので、しない場合がほとんど」 云々といった話が出ていて、 そ…

科学を信用しても信仰するな

lets_skepticさんの 「科学を信仰してもいいよ。それが本当の科学ならね。」 http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20081208/p1 という記事を読んだが、 普通の人に「科学を信用しろ」と言っても良いと思うが、 「信仰しても良い」というのはちょっと違和感が…

例えば法曹対象のサイエンス・カフェ?なんてどうか

サイエンス・コミュニケーションとかそういう方面で サイエンス・カフェというのがある。 その業界ではそれなりの定義もあるようだが、 要するに科学者と一般人が(多くの場合は先端の)科学の話題について、 気軽に対等に語り合う場といったところが大方の…

やぶにらみ:肝臓癌の増加グラフ

今回の三笠フーズによる汚染米の転売問題は、 複数の業者で似たようなことが行われていることが明るみに出て 汚染米(農水省の呼び名では「非食用の事故米穀」)問題は ようやくメディアでの扱いも大きくなってきたようだ。 それで関心を持った人達の一部か…

国威発揚でも産業貢献でもなく

大「脳」洋航海記のvikingさんが、 自分の「役に立たなくても面白いものを」に対して "「国民の科学」を目指しても問題は解決しない" http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2021 というトラックバックを送ってくださった。 訪れる人もまばらな過疎地ブ…

シンポジウム「21世紀の科学技術リテラシー」

科学技術リテラシーに関する次のようなシンポジウムが開催されるそうだ。 第1回シンポジウム「21世紀の科学技術リテラシー」 ○日 時:2008年5月25日(日) 10:00-17:00(受付開始9:30) ○会 場:富士ソフト アキバプラザ5F アキバホール(東京:秋葉原) ○参加…

ファインマンをちょっと嫌いになる

物理学者のファインマンは、 「科学哲学が科学者の役に立つ度合いは、鳥にとっての鳥類学のようなもの」 “Philosophy of science is about as useful to scientists as ornithology is to birds.” という趣旨の発言をしたそうだ(出典はS.ワインバーグによる…

ニセ科学リスト

芹沢さんという方のブログ「妄想科學日報」の 「覚えておきたい、ニセ科学リスト」 http://d.hatena.ne.jp/DocSeri/20071128/1196234450 という記事が話題を呼んでいるようだ。 これまでも疑似科学・インチキ療法を批判的に紹介するサイトはいくつもあったが…